2011年9月6日火曜日

神奈川歯科大学学術講演会、藤本 順平先生

 今日は二本立て、またもやセミナーネタです、お気づきの方もいるかと思いますが、
4週続けての週末セミナー参加になりました、流石にこうも続けてだとしんどいですね、
なぜか8月下旬から9月頭にかけて集中しました、

さて今回は、神奈川歯科大学同窓会学術講演会
「長期Follow up 症例より見えてくること  -Anterior guidanceの重要性について-

 4時間あまりの講演会であったのでアンテリアガイダンス
に焦点をあてた講演会となりました、10年ほぞ前にも藤本先生の講演は何度も
聞いていましたが、改めて今自分が過ごしてきた15年の臨床経験をふまえた上で
聞くとまた違った感覚で藤本先生の講義を理解することができました、
4時間がかなりあっという間という風に感じました、
以下講演会メモよりほんの一部、

前歯の良好な被蓋関係(アンテリアガイダンス)により下顎が垂直的に

離開することにより臼歯が守られる。

高齢者で歯牙残存率の高いものには、非作業側の干渉がない

機能的な意味での正常咬合者が多い

現代咬合論

側方ガイドを犬歯単独(犬歯誘導)又は作業側の複数歯牙(グループファンクション)により離開咬合を与えるとする考え方であり,

現代の有歯学咬合論の基本である。

適正な咬合高径が決定されると、中心位とアンテリアガイダンスが最も重要な要素となる、

アンテリアガイダンスの目的

1.臼歯の保護

2.臼歯部補綴物の保護

3.TMJの保護

4.神経筋機構の保護

アンテリアガイダンスの理論的根拠

解剖学的条件

前歯は下顎を作業側と考えた場合、支点であるtmjより遠くに位置している

前歯は閉口筋より遠くに位置する為、臼歯に比べて力学的負担が少ない。

前歯は顎関節に比べ臼歯に近く位置する為、臼歯部咬合面に対する影響はポステリアガイダンスより大きい

犬歯の歯根は長く表面積も大きい

犬歯は歯列上で都合のいい位置にある

中心位咬合採得の失敗

ガイダンスの低下又は喪失

修復材料の磨耗

フェイスボウの限界

平均値咬合器の限界

アンテリアガイダンス付与の為の臨床ステップ

1.初診、審査、診断、治療計画の作成、

2.最終補綴治療方針決定、アルギニン酸印象、診断模型制作

3.中心位咬合採得、フェイスボウ採得、診断模型の咬合器マウント

中心位咬合採得の重要性、全ての咬合条件

決定は中心位決定より始める

最適な下顎位としての中心位の定義

許容される範囲内で可及的に強い、比作業側の歯の離開を起こさせるべきである。



最後に先生がどうしても伝いたいとおっしゃっていたのが、

「臨床はとても厳しいもの、

全てのステップにおいて完璧にこなせなくて意味をなさない。」

ここでいくらアンテリアガイダンスや中心位の講義をしたとしても、

それだけ身につけてもまったく意味を持たない、審査診断、アルギン酸印象、マウント、

プレパレーション、本印象、技工、とすべのことが完璧にできなければ意味がない。

会場全体がなんか怒られるというか、「喝」を入れられているような・・・・

なんとなくすがすがしい気分で帰路につくことができました。



「行為なき理論は空虚であり

理論なき行為は暴力である。」

藤本先生が好きな言葉だそうです、